フルーティストたちへの音楽

今回は、フルートとピアノのデュオ、弦楽器とフルートのトリオ、そして協奏曲という、様々なスタイルの作品を時代を追って研究してみました。

「音楽」といえば、声楽による教会音楽のことを指した歴史が長い音楽社会で、器楽は長い間その主流をなすものではありませんでした。

しかし17世紀以降、絶大な力を誇って来た教会に対して宮廷などの世俗的権力がより大きな権力を持ち始め、宮廷内の式典や王の楽しみ、接待としてだけではなく、どの時代も小編成のアンサンブルや、大きなオーケストラは存在しました。

例えば、「協奏曲」といっても、管弦楽の前にひとりのソリストが出て超技巧的な名人芸を披露するようなものだけでなく、バッハのブランデンブルグ協奏曲のように、音楽の構造や表情を、人数の違うふたつのグループによる音量の変化を以て素材的に対比させる「合奏協奏曲」という形式が存在しました。

クーラウの時代のように、鍵盤楽器がチェンバロからピアノへと移行するとその作品は多彩さを増しました。

ドゥメルスマンが活躍した19世紀には、フルートはキーの少ない簡単な構造のものから多鍵で大きな音の出るものへと変化します。

その流れから「ヴィルゥトゥオーゾ」と呼ばれる優れた技術を持った演奏家が多数出現し、作品も華々しく優れたテクニックを必要とするものが流行りました。

また、ルーセルのように、世界大戦などの混乱の中、社会を反映するかの如く、それまでの風習を壊すような新しい音作りや楽器編成を編み出すなど、音楽は時代の変貌とともに生まれ変わっていきます。

100年後にはどのような音楽スタイルが現れるのでしょうか?

そしてその後も更に音楽は変化を遂げていくのでしょう。

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