バッハ ハンブルガーソナタ

ヨハン・セバスティアン・バッハ(いわゆる「大バッハ」)の次男であるカール・フィリップ・エマニュエル・バッハ(1714〜1788)は、その活動拠点が主にベルリンとハンブルクだったために「ハンブルクのバッハ」などの通称があります。

彼の音楽は、音楽史上の様式でみると大バッハの時代のバロック様式と、ハイドンやモーツァルトたちが築いた古典様式の中間あたりで発展しました。

「音楽とは単に耳を楽しませるようなことではなく、多くのことを語りかけることのできる、ひとの心を動かすものである」という信念を持っていた彼の音楽は、当時かなり斬新なものだったと思われます。

彼の作品にしばしばみられる新しい感覚の和声や突然の休符なども、そういった考えから生まれたものといってよいでしょう。

この曲は1768年から1788年に没するまで活動していたハンブルク時代の唯一のフルートソナタです。

通奏低音が用いられ、形式的にはバロック様式ではありますが、フルートパートの優雅で自由なスタイルにみられる感情表現は、のちの古典音楽をにおわせるような作品になっています。

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