ルクレール フルートとチェロ・通奏低音のためのソナタ

フルーティストにとって縁の深い作曲家フィリップ・ゴーベール(1879〜1941)は、フランスの優れたフルーティスト・指揮者として活躍し、独創的な教授法でのちのフルート業界の道標となりました。

彼の作風は、フランクやドビュッシー、ラベルの要素を取り入れた色彩豊かなもので、交響曲・バレエ音楽の他、フルーティストに捧げた作品も多数残されています。

マドリガルとは、もとはイタリアの詩、または歌曲形式の一種のことをいい、「母国語による歌・世俗的な歌」の意味を語源とする牧歌的叙情詩です。

14世紀頃宮廷で演奏されたイタリア最初の多声歌曲と、16世紀頃他の形式から現れた、詩節がなくリフレインもない自由詩をテキストの抑揚に併せてメロディを付けるものと、大きく二つの種類があります。

この曲の詳しい記述は残されていませんが、ゴーベールはその交友の広さからアマチュア音楽家のためにもよく作品を残しており、この「マドリガル」もその中のひとつではないかと思われます。

ピアノの分散和音に包まれたどこかのんびりとしたフルートの旋律が牧歌的な雰囲気を醸し出しています。

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