ヒンデミット フルートソナタ

このフルートソナタは第二次世界大戦勃発の3年ほど前である1936年に作曲されました。

ドイツの作曲家であるバウル・ヒンデミット(1895〜1963)は、それまでの印象主義における曖昧模糊とした音響性、詩的・絵画的なイメージを否定して、それらのもう一つ前の古典やバロック音楽の持つ美質に回帰しようという動きである"新古典主義"の旗手でありました。

ヴァイオリン・ヴィオラ奏者として名をなした後、1920年頃には作曲家として楽壇に登場します。

1927年よりベルリンの高等音楽学校で教鞭を執りますが、35年にはその現代的傾向の音楽が腐敗した芸術であるとされて、ナチスに圧迫を受けて辞職することになります。

彼にとってきわめて抑圧された、困難な時代である1935年から1943年にかけて、様々な楽器のためにたくさんのソナタが作られました。

このフルートソナタはそんな彼の想いが込められているかのような、明るく明快な曲に仕上げられています。

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