エネスコ カンタービレとエネスコ

ルーマニアの作曲家ジョルジュ・エネスコ(1881〜1955)は、20世紀のルーマニアを代表する作曲家で、また優れたヴァイオリン奏者でもありました。

パリ国立音楽院において、「瞑想曲」で有名なマスネ(1842〜1912)やフォーレ(1845〜1924)に師事、デビューはヴァイオリニストとしてでした。

その弟子のユーディ・メニューインはその腕前について「モーリス・ラヴェル(1875〜1937)が持ってきた作曲したての難しいヴァイオリン・ソナタを、手書きの譜面を見ながら一通り弾いて判読しにくいところを数ヵ所確認したあと、暗譜で完璧に弾き切った」と語っているほどでした。

しかしエネスコ自身はのちにヴァイオリンに専念し過ぎたことを悔やみ、作曲、後進の指導やオーケストラの設立・指揮等に心酔していきました。

この曲はフランス的傾向が強い色合いのもので、ロマンティックなカンタービレの部分とすばしこく動き回るようなブレストの二部から成り、フルートという楽器の特色をよく引き出している作品となっています。

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