ヴィドール 組曲 作品34

シャルル=マリー・ヴィドール(1844〜1937)は、フランスの作曲家・オルガン奏者・教師・音楽批評家など、90歳まで精力的に多彩な活動をしました。

特にオルガン音楽において、18世紀中葉から主流ではなくなったオルガンを用いた作品を復興させ、再び発展させた功績者でもありました。

この曲は、楽器の発展とともに生まれた当時の優れたフルーティストの一人であるポール・タファネル(1844〜1908)に捧げられた曲でした。

作曲家自身が楽器が堪能で名曲が生まれる例も数多くありますが、名人のために優れた作曲家が作品を献呈する、といったこともよくあったのです。

四楽章から成るこの曲はそれぞれに美しい旋律をもち、特に第三楽章の「ロマンス」などはシェイクスピアの作品「十二夜」のなかの「四月の物語」のフランス版のために自身が書いた音楽から抜粋されており、四月の夜に恋に落ちた恋人たちが愛を語らう、といったロマンティックなイメージを醸し出しています。

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