マルティヌー 第1ソナタ

チェコ出身の作曲家であるボフスラフ・マルティヌー(1850〜1959)は、速筆の多作家として知られています。

作曲家として目覚めるまではヴァイオリン奏者として、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団に入団しますが、学生時代は演奏会や劇場通いに明け暮れ、また演奏することに没頭したため落第するなど、決して優等生ではなかったように見受けられます。

しかし、フランスの作曲家ルーセルの演奏を機に作曲の勉強に専念しました。

「音楽は美しくあらねばならぬ」がモットーの彼の作品は、ドビュッシー、ストラヴィンスキーなどの影響を受けながら、ジャズのイディオムを取り入れた曲を多く書いたり、一方で最後まで国籍を捨てずモラヴィア民謡を愛しそのハーモニーやリズムを作品の中に蘇らせました。

いつも故郷の写真と少年時代の思い出である小刀を持っていたという彼は、その政情の為に願いつつも二度と故国の土を踏むことはありませんでした。

この曲は当時ボストン交響楽団の主席フルート奏者ジョルジュ・ローランに献呈されたもので、望郷の念を感じさせるようにボヘミアとモラヴィアの民族音楽の要素がちりばめられています。

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