フルーティストたちへの音楽

今日私達が趣味・趣向として楽しんでいる「音楽」というジャンルは、本来は神への祈りのための、また様々な行事や生徒の教育などのために生み出される、いわば役割を担った必要不可欠なものでした。

そのため音楽家の就職先にも密接な関わりがあります。

音楽家の就職先として代表的なものは、バッハやルクレールなどのバロック音楽の時代は宮廷付きのオーケストラなどの演奏家や作曲家・指揮者で、王の趣味や式典・宗教的行事のための音楽が定期的に作られました。

ゴーベールなどの近代には音楽院の普及により大学などの教員として指導する傍ら、生徒の試験のための音楽などが作られます。

伝統である教会における教育や演奏活動も続いており、礼拝のための音楽が生み出され、また作曲者自らオルガン演奏も行います。

17世紀ヨーロッパでは領地争いなどにより王の代が代わったり、政略結婚で他国の王女が輿入れしたりすると、新しい人間と同時に他国文化も輸入されて独自の文化を生み出しました。

様々な出会いや別れが多いその時代、寿命があまり長くなかったこともあってか、旅行や転居などの際にもメッセージと共に曲や市などを書き記した「友情記念帳」なるものも交わされていました。

そして、それぞれの仕事先で腕の立つ演奏家と知り合ったり、尊敬する師と出会ったりするとその愛すべき人に捧げるために名曲が生まれる、というのはいつの時代も変わらないようです。

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