バラードとは楽曲の名称で、古くは単声の舞踏歌のことでしたが、14世紀にはリフレインを持つ定型詩に基づく楽曲形式を意味するようになり、多声部の作品も作られました。

イギリスでは語り物的な内容を持つ歌曲がバラッドと呼ばれ、これが19世紀のドイツに受け継がれてシューベルトなどのドイツ歌曲のバラードになったようです。

ロマン派では中世の物語や伝説を題材とするものが多く、はじめて器楽曲の名称にも起用したショパンや、ブラームス、リストなどの作品もバラードとの結びつきが強いようです。

フランク・マルタン(1890〜1974)はスイスの作曲家で、この曲を含めて独奏楽器とピアノ(またはオーケストラ)のための「バラード」を5曲残しました。

彼の音楽は、印象派を経てシェーンベルグ(1874〜1951)にみられる無調音楽の影響を受けつつ、調整に固執した彼独自の作風へと展開していきました。

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